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ANATHER
STORY

 

​NVCと、私と息子の軌跡
 

この物語は、NVCに出逢った私が、息子との生活を変えていった軌跡をたどります。

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NVCの入り口として選んだ、カードワーク。

ワークショップでNVCのカードに出会い、新しい人との向き合い方に可能性を感じた私。

まずはNVCのカードを購入し、息子にカードワークをしてみることに。

しかし何故か、一向に上手くいかない。

「あなたはこういうことを感じてるんじゃないの?」と話しても、「なにそれ、心理テスト?」と怪しまれ、息子の本音どころかますます心の距離が開いていく。

見よう見まねの私がいきなりカードワークを出来るわけでもなく、ワークショップに誘ってくれた友人に、息子へのカードワークを依頼。

すると数回のワークのあとに、友人からこんなフィードバックが。
「このセッションが、先に進むためのひとつの手段だと思えてる、って息子さんが話してくれたよ」

私が直接行うことは出来なかったものの、NVCという新たなアプローチに、確実に手ごたえを感じ始める。

デザインブック

本も読んだものの、壁にぶつかるばかりの日々。

次に本を購入。NVCを体系的に頭に入れて、実践していく作戦。

感想は…「難しい」。ただ、「人には感情がある」という部分だけは分かる。
でも感覚的には、全く腑に落ちない。

ワークショップで得られたあの体験と気づきが一体何なのか、自分でまた起こせることなのか、さっぱり見当がつかなかった。

会話の中でニーズや感情を意識してみるが、やっぱり息子に「なんかの宗教?」と怪しまれる毎日。


相手の心の中なんか分からない…!!
心がボキボキと折れ、友人にメールで現状をシェアする。

友人がNVCを意識したやり取りで返してくれるうちに、心が落ち着く感覚を覚える。


そこからまずはこの感覚を自分一人で持てるようになろう、と考え、自分に対してのNVCを意識しだす。

とはいえ、特別なことは何もなく。

なんでこんなに悲しいんだろう。
ムカつく。でもそうだよね、仕方がないよね。

と自分へ目を向けてあげることをひたすら繰り返す。


イライラした時は息子へ反応するのではなく、自分に反応する。
それを繰り返しているうち、怒りが長引かなくなっていった。

​そして気づくと息子へ気持ちをぶつけることに意識が向かなくなっており、息子へのストレスが減っていった。

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​どうしても上手く出来てるかどうかにこだわってしまう

そもそも「今の私はNVCが出来てない。これじゃダメだ」と自分にジャッジをすること自体が、NVCではなかった。

上手くいってる、いってないにこだわり、変化が見えないとイライラしていた。
本来、結果ではなくそのコミュニケーションにトライしていること自体が重要。

NVCにこだわるあまり、NVCとは真逆のことをしていたと気づくのは、だいぶ後のことだった。


NVCを身に付けるにはどうしたらいいか?といった知識はまるでなく、​友人のサポートをすこしずつ受けながら自分で試行錯誤していくうち、息子が「友達と上手くいかなくても、学校だけはまあ行ってみようかな。なんか楽しいことがあるかもしんないし。」と言い始めた。

今ならわかる。

私は、助けを必要としていた。
サポート、受け止めて欲しいというニーズを持っていた。

​でもそれを息子に求めるのは、手段としては少しずれていた。
なぜなら、息子も同じように助けを必要としていたから。

溺れそうな2人が互いに助けを求めたって、それはどちらも助からない。

私がNVCと友人という2つにサポートしてもらえるようになった時、息子は新しく「自分の力で進む」というニーズを見つけたのだと思う。

私たちは必死にもがくうち、ちゃんと自分を助けてくれるものを見つけて、「そこに助けを求めてもいい」と思えたのだ。

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出来ない理由を探すのではなく、出来るための理由を探し始めた

それでもまだ、私は感情的になることがよくあった。
涙が止まらなくて何時間も家を離れたり、母に電話をすることもあった。


でもその頃には、立ち直るためには自分の力で、自分を満たすことしかないと分かっていた。

NVCは瞬時に劇的な大変化を与えてくれるよりも、長くじっくりと、時間をかけて染みわたる栄養のようだった。

一瞬で手に入るものは、長くは続かない。
だからこそじっくり心と身体に染みこませていくことでNVCは確実に定着していくし、一生失うことはない。



そしてその頃、自分のこれからの働き方についても考えていた。

息子が成人したら好きなことを仕事にしよう、と決めていたが、それまで8年~10年待つことはもうできないと感じていた。

少しずつ、副業としてやりたいことを初めても良いんじゃないか?

そんな風に思えるようになったのも、NVCで自分と対話が出来るようになったから。

今までだったら絶対に「子供が大きくなるまで頑張るべき」「やることがこれ以上増えるなんて無理」と思っていた。

でもその時の私は「どうやったらやりたいことを出来るか、時間を作れるか」という物の見方が出来るようになっていた。

 

手

息子の見えない揺れ

そして息子もまた、学校に行けるようになっても心の中で波は起きていた。

中1の時には「卒業する頃には辛い人生を変えたい」と願っていたし、中2の時には「心療内科で薬飲まないとダメかなあ…」と本人から言うくらい、毎晩眠れず気持ちが鬱々としていた時期もある。

その息子を見守りながら私は、以前のようにイライラしたり不安を感じることはなく、何かあれば「私がカウンセリングしよう」くらいに構えることも出来ていた。

そして以前のように形だけの「共感」ではなく、息子が心から安心して満足する共感をひたすら行ない、私が心配していることや不安なことも隠さず伝えた。


今その波が落ち着いた息子は、もう大人が教えることは何もないくらい、人として成長している。


“中学3年間を終えて学んだこと”というプリントに
「仲間も友達も本気で出来ないと思ってたけど、自分次第でどうにでもなることが分かった」と書いた息子。
きっと、自分とのコミュニケーションも、人とのコミュニケーションも怖くないと、心の底から腑に落ちたんだと思う。


ちなみに息子は一緒に出掛けるとスマホを見ずにお喋りしてくれるし、自然と荷物を持ってくれたり横も歩いてくれる。

​今日あったこと、今興味のあること、なんでも話をしてくれるのがとても楽しい。

田舎の道

​在ったらプラスにしかならないもの

NVCは特別な技術ではない。

「人には必ずニーズが存在している」という前提があり、人が行動する理由は全て、そのニーズを満たすため。

だから、困った時も悲しいときも、腹が立つ時も。
たとえ子供に怒鳴ったり、言い合いになったりするときも、そこには必ずニーズが存在している。

そのニーズが何か?を意識すれば、必ず解決策が見えて来る。

それを頭においておけば、どんな状況であっても自分や相手を責めることは無いし、我慢したり押しつける以外の解決法を見いだせる。


中学3年間で学んだこと、のプリントに書かれていた息子の夢。

「僕には、夢がたくさんあります。小さなものも入れたら、100個くらい。しかもそれはどれも、世の中に無くても困らないようなことなんです。だから、有ったらプラスにしかならないということです。」

息子に負けないよう、私も自分と向き合い、自分の人生を深めていこうと思う。

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